ドライゼは前装式銃の撃発機構が燧石式から雷管式へ移行して行った時期に、最初の針打ち式銃を試作した。
精密射撃を可能にするライフル銃身は16世紀に実用化されていたものの、燧石式の撃発機構は着火時に大きな衝撃を銃に与えてしまうため、精密射撃は熟練した射手にしか行えない曲芸だった。
燧石式よりもはるかに小さい衝撃と短いタイムラグで着火させられる雷管式は、ライフル銃身と組み合わせる事で、誰にでも精密射撃を可能にさせる新技術として、また雨や湿気に強い雷汞の利点や、発射時に燧石の閃光を発しない等の利点から急速に普及した。
燧石式が射撃の精度に与えていた悪影響が取り除かれると、残された問題として伝統的なサイドハンマー式撃発機構の弊害が認識され始めた。
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当時の前装式銃の撃発機構は、多くの雷管式銃が燧石式を改造して製造されていたために、燧石式の撃発機構であるサイドハンマー式がそのまま継承されていたが、銃身の中心軸に対して大角度で打撃を加えるサイドハンマー式は、軸線の安定に干渉していると認識されはじめていた。
また、ニップルと呼ばれる銃身につながった枝状の小さなパイプに、これまた小さな雷管を被せる作業の困難さ(手袋をした手ではほぼ不可能である)と、撃発時にしばしば雷管が破裂して射手の目を傷付けてしまう事故は、サイドハンマー式で利用されていた雷管式が新たにもたらした深刻な問題であり、新しい撃発機構への模索が始まっていた。
ドライゼはこれらの問題点を解決する方策として、最初の前装式ニードルガンを試作した。 この銃は、銃身の中心軸線上で前後に動作する長い針を、コイルスプリングによって前進させ、弾丸底部の中央に取り付けられた雷管を突いて着火させる構造で、銃身中心軸線への振動は最小限に抑えられ、雷管は弾丸と一緒に装填できる上に、撃発のプロセスは密閉された銃身内で完結するため、射手への危険は減少した。
このアイデアを成功させたドライゼは、さらに弾丸・雷管・黒色火薬を一体型させた紙製薬莢を試作し、これを銃口からではなく銃尾から装填し、嵌合式のボルトで閉鎖するアイデアと、長い針による撃発機構をボルトに内蔵させるアイデアを追加した事で、後にボルトアクションと呼ばれ広く普及した閉鎖・撃発機構の実用化に成功した。